2023/05/07 05:12
「未成年も」「8割はホストへ」歌舞伎町の「交縁女子」はなぜ合法店舗で働けないのか…広まる低年齢化
歌舞伎町の「大久保公園」に立ち並ぶ女性たち。彼女たちはなぜそこにいるのだろうか。エッセイストのトイアンナ氏が現地に足を運んだ――。
公園で立ちんぼ……公然と売春する「交縁女子」
新宿区・歌舞伎町にある「大久保公園」には、もともと立ちんぼと呼ばれる売春目的の女性が並ぶ、荒れた地域だ。そこが今、かつてないほど賑わっているという。夜になると女性が横並びに立ち、客を待つ。その姿はさながら駅のホームのようだ。
この数年で立ちんぼの女性は増えていたが、注目を浴びたのは意外なきっかけだった。新宿で活動する女性支援団体「Colabo」が東京都から委託事業として費用を不正受給していた疑いが広まり、カウンターアクションとして女性支援に乗り出す個人が出てきたのだ。その結果、SNSで立ちんぼ女性の現状が発信され、一気に注目度が高まった。
夜といっても、まだ電車も多く走る20時ごろ。JR新宿駅から歌舞伎町方面に向かい、大久保病院前を歩くと異様な光景が目に入る。女性がぽつぽつと不自然に立ち、男性と会話して価格交渉をしているのだ。
筆者はふくよかなアラフォーの女性だが、それでも勘違いされた
筆者はふくよかなアラフォーの女性だが、それでも「売り」と勘違いして声をかけてくる人がいた。無理やり連れ去られることはない。こちらが売春目的でないと知れば、買い手は次の女性に声をかけにいくだけだ。ただ、筆者にすら声をかけてくる現状を踏まえると、大久保病院に務める女性職員にとっては働きづらい環境だろう。こうして買売春の交渉をする女性を、最近では「交縁女子」と呼ぶ。
警視庁保安課では2021年に34人、2022年に51人の「交縁女子」を摘発した。2023年4月単体でも10人が新たに売春防止法に基づいて摘発されているが、街娼が減るようすはない。さらに、交縁女子の8割は食うに困って……ではなく、ホストクラブへの支払いを目的に売春をもちかけていたという。
なぜ風俗ではなく交縁女子になるのか
立ちんぼと聞いて、まっさきに上がってくる疑問は「なぜ風俗ではなく、売春へ走るのか」という点だ。風俗であれば客引きをする必要はない。勝手に店が集客をしてくれて、女性は用意された待機室や、自宅で出動を待っていればいい。価格交渉をする必要もなく、危険な目にあわせる客は出入り禁止にしてくれる。
ところが、多くの交縁女子には風俗で働けない事情がある。風俗店経営者に話を聞くと、昨今では風俗嬢のレベルが上がり、面接で落とされる女性が増えているという。「スペ100」といって、身長-体重=100を下回る女性は、なかなか採用されない。1日に10万円以上を稼ぎたいなら特殊プレイを許容するか、「スペ120」つまり身長160cmなら、120を引いた40kg相当のボディが要求されるという。
さらに、接客技術でも差がつく。採用基準が厳しくなれば、にこやかに客の応対をし、客の名前や特徴を覚え、気に入られる努力をしなければならない。風俗は歩合制だから、客がつかなければ無給になってしまう。さらに、他店と差別化するために写メ日記(風俗嬢が写真とともに日常を掲載するブログ)や、SNSを更新させられる。そんなわけで「立ちんぼの方がマシ」と考える女性が出てきてしまう。
「あとは、未成年ですね」
と、風俗店経営者は語る。当然ながら、風俗店では未成年は勤務できない。そこで、未成年でも体を売れる立ちんぼが選ばれるケースがあるという。
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