禁止週間明け、オキニに“久しぶりだね”と言われて涙腺崩壊編

給料日。
残高は復活。
そして精神は限界。
――風俗禁止週間、ついに終了。
F氏は仕事を終えた瞬間、
光よりも速く店の予約ページを開いた。
指が震えて操作ミスし、
３回くらいトップに戻されたが、それすら愛おしい。

胸の内で“名前コール”しながら、
ついに予約完了。
生まれたての子鹿のような足取りで向かった。
ホテルの部屋で待つ間、胸が高鳴る。
ドキドキしすぎて心電図なら警報が鳴るレベルだ。

そして――ドアが開いた。

ふわっとした甘い香り。
柔らかな声。
「Fくん……久しぶりだね」

その一言で、F氏の世界が揺れた。
（……え？ ひ、久しぶり……？
覚えて……くれて……る……？）

涙腺、壊れる。

彼女の笑顔は、
１週間の地獄のような
“風俗禁止生活”
を全肯定してくれているかのようだった。
「元気してた？
会えてよかった?。
心配してたんだよ」

心配してた!?
言葉のミサイル直撃である。
F氏、精神的に一撃で戦闘不能。

「ちょっと痩せた？ 無理してない？」

ダメ押しの優しさ。
父母・上司・同僚・友達、
誰からも言われたことのない気遣い。
（こんなん泣くわ……無理……）

実際、涙こそ流れていないが、
心の中では滝のように流れていた。

施術中も、会話がはずむ。
「Fくん、来てくれると安心するんだよね」
「次はいつ来れる？」
そんな一言一言が、
F氏の１週間の禁欲苦行を浄化していく。

禁止週間を乗り越えた男への
“ご褒美イベント”
であった。

帰り道。
F氏は空を見上げながらそっと呟いた。
「……俺、１週間がんばってよかった……」
その横顔は、戦いを勝ち抜いた勇者のそれだった。

そしてF氏は気づく。

（やっぱり、俺の生きがいはここなんだ）
風俗禁止週間。
それはつらい修行だったが、
報われる瞬間は何より甘かった。
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